用途：

光学系レンズやウインドウとして用いられます。
ウィンドウとしては主に多結晶が主流ですが、単結晶C軸に統一されていることも多いです。
ユウロピウム(Eu)をドープすることでガンマ線向けシンチレータとしても有効です。
結晶構造が立方体であるので、光学的特性と機械的特性両方に関して自然に等方性で、複屈折や不均一な熱膨張を 引き起こすことなく任意の方向で使用することができます。
CaF2結晶≒蛍石。無色。色収差がほぼ皆無。
市販品では光学ガラスに代わる高性能望遠レンズなどに使われており、
高性能レンズ制作のために大口径化が望まれ、時々大口径化に成功した企業のニュースが流れています。
直径の小さいは数千円で購入可能ですが、直径が大きくなればなるほど、
結晶育成にかかる費用やリスクが増大するので、非常に高価な材料となります。
また用途によってグレードが存在します。

機能：

130nm～9000nm非常に広いスペクトル範囲があり、透過率は約90%を維持、
紫外線、赤外線のスペクトルに関わる様々なアプリケーション
光学窓、プリズム、レンズに適用されております。
また、Euを添加して、低エネルギー・粒子検出（シンチレータ）にも利用可能です。

グレード：

CaF2結晶は純度によって5種類のグレードがあります。

すべてのグレードにおいてIR帯域全体に良好ですが、 UV帯域や分光法アプリケーションではグレードを選択する必要があります。

• IRグレード（多結晶・天然採掘品を精製)
• UVグレード（複屈折をIRグレードより抑える。人口生成単結晶）
• VUVグレード（真空紫外域における放射線誘発色の影響を更に受けにくくする）
• エキシマグレード：(真紫外向け高透過率90～95%の最高品質等級)
• ラマングレード：(ラマン顕微鏡向けバッググラウンドを阻害しない特別な品質)

グレード別透過率グラフ

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<IRグレード>

フッ化カルシウムという結晶は自然界から採掘することができる資源ですが、
天然採掘品は様々な不純物と混じり合うので、光学用途では誤差が生じやすくなります。
これら天然石はIRグレードと呼ばれ、一番低価格というメリットがあります。
しかし、純度が低いIRグレードが不良品ということにはなりません。 主にCaF2に含まれる鉄に反応して、300nm帯域で吸収が起きます。250nmあたりで透過率が低下することもあります。 利用する波長帯によって上位であるUVグレードではオーバースペックになり、ご予算を圧迫させることになります。 弊社取り扱いCaF2結晶はIR領域またはUV領域の違いを区別し、ユーザーの用途に見合ったグレードで御見積いたします。
弊社英国製のIRグレードは可視及びIR波長帯でも吸収が起きないCaF2を用いています。

<UV/VUVグレード>

CaF2は300nm吸収があります。
CaF2には鉄が若干含んでおり、その鉄が300nmと250nmの波長を吸収、透過率を減少させます。 UVグレードはIRグレードと比べて190～250nmの吸収を弱めた品質です。
VUVグレードは300nmの波長吸収をさらに抑えることができますが 最高の透過率というわけではありません。※下部VUV透過率グラフ参照

<エキシマグレード>

高出力レーザーやレンズなどの用途に向けた最高品質グレードです。 可能な限り低い吸収を保つために、最高純度の原材料から製造したCaF2結晶インゴットから作りだすグレードです。 特に紫外波長帯域である、
ArF(193nm)、KrF(248nm)、i線(365nm)、g線(436nm）
レーザー入射光の波長毎に高透過率をキープする基板です。
※エキシマグレードは特注品となります。

<ラマングレード>

主にラマン顕微鏡用の基板です。 ラマン分光法のアプリケーションに干渉する可能性がある蛍光発光波長帯を示さない特別に生産された結晶インゴットから供給されます。
※IR,UVという記述ではありますが赤外、紫外専用という意味ではございません。

誤差：

光学系ではIRグレードは紫外領域において不純物が反応することがあり、計算された性能を発揮しない場合がございます。 UVグレードはCaF2としてIR,UVどのスペクトルにも問題なくご利用可能です。
紫外領域において1%でも吸収を抑えることを目的とした場合、よりハイグレード品をお求めください。

サイズ：

直径φ300mm 厚さ100mmまで製造可能です。
10x10mmや厚み0.2mmなど薄い基板なども扱っております。

ラマンスペクトルを用いた実験する上で、基板が結果を阻害しないことが必要となります。
Crystran製ラマングレードCaF2は蛍光フリーとしてそれを解決します。

波長透過範囲

・130nm深紫外から10um中赤外線まで幅広い透過範囲
・ラマンピークは321cm⁻¹のみ
・結果を阻害する他のラマンピークがありません
・最小限の蛍光
・良い耐久性と不溶性

CaF2(eu)シンチレータ：

原子番号 16.5

CaF2にユーロピウム(eu+2)を添加し不溶性、青色に蛍光するシンチレータ結晶です。
ガンマ線を検出するシンチレータとして有効な結晶です。
比較的加工がしやすく、透過範囲広範囲で優れていますが、400nmに吸収波長帯がありシンチレーションの妨げになります。

御見積方法

光学ウィンドウ仕様：サイズ、研磨、数量　※研磨精度の指定可能。
その他光学仕様：サイズ、面方位、研磨（片面/両面)、数量
シンチレータ仕様：サイズと数量
以上の内容を当ページ最下部のお問合せフォームからお知らせください。

結晶塊から希望のサイズに沿って削り出しますので、
φ25.4mm、10x10xT0.5mm等自由に設定できます。
比較が必要な場合やご不明点はお気軽にお問合せください。